転移

夏休み前からちょくちょく図書館に通っています。夏休みにどこへ行くか考えるためにガイドブックを見に行ったり借りたりしてました。そのついでに面白そうな本がないかとウロウロして、漫画が置いてあることを知りました。まあほんのちょっとなんですが。漫画といってもエッセイ的なものなんですが。本屋さんでちらっと見て面白そうだと思った「ダーリンは外国人」と「失踪日記」を図書館で読んできちゃったりしました。ダーリン〜のほうはかなり有名ですが失踪日記は知らない人のほうが多いかも。吾妻ひでお著です。漫画家といえばいまは朝ドラの影響で水木しげるの半生が有名になりましたが、吾妻ひでおの半生も波乱万丈でびっくりするような事件がいくつも起きています。というか起こしているといったほうがよさそうですね。漫画の仕事から逃亡して自殺未遂してそのままホームレスになっちゃったり、ホームレス時代に知り合った人にすすめられて配管工の仕事をしていたり、警察に保護されて連れ戻されたり、アル中になって精神病院に入れられたり。ああいう絵柄の漫画なので悲惨さはそれほど感じられないけど描いてある内容はなかなかに壮絶です。

失踪日記

失踪日記

そして、借りてきていて今日読み終わったのが中島梓の「転移」。これの前の「ガン病棟ピーターラビット」が読みたくて探していたのですがいつも見つからなくてたまたまこれがあって手にとってみたらその作品の続編でした。日記なので続編っていうのも変ですが、ガンの手術のあと転移が見つかった2008年9月から亡くなる直前の2009年5月17日までの日記です。亡くなったのが5月26日なので本当に直前までの日記。何が楽しくて何が辛くて自分の心境がどんななのか。死が近づきながらも買い物をしたり家族に食事を作ったり、死のひと月前までジャズライブ(ピアノ演奏)をしたり小説の塾で教えたり。もちろん自分の作品も書いていて、体調がよくなくてなかなか長い間机に向かっていられないとか、日常のいろいろなことが書き綴られていました。達観しているところがあったり未練があったり。ガンの闘病というものが多少なりともわかった気がします。私が人生で一番たくさんの作品を読んだ作家が中島梓栗本薫)です。きっと一生これは変わらないと思います。私にとっては特別な存在の一人です。

転移

転移